「為すこと」よりも「為すことをいかに意味づけるか」の時代

たとえば、筆者が前著で論じたボスニア紛争においては、ジム・ハーフというPR会社のプロフェッショナルが、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府から情報戦略を請け負い、セルビア人を孤立させるべく、国際世論を誘導していく様子が描かれています。
その手法は、「バズワードをつくる」「サウンドバイトをつくる:流行しやすいように短く断片化した発言」「サダマイズ:標的をきめて、悪の権化として印象操作を行う」など、非常に巧妙で、「なるほどなぁ・・・」と感心してしまうものばかりです。ある出来事をいかに自分たちに有利なように位置づけ、意味づけていくかに焦点化されています。

 国家、さらにはテロ組織までもが、神経をすり減らす国際情報戦。本書の最後には、著者が、日本が国際メディア情報戦をサバイブしていくためのヒントも論じてあり、非常に興味深く読むことができました。おすすめの書籍です。


NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 – 大人の学びを科学する: 「為すこと」よりも「為すことをいかに意味づけるか」の時代!? : 高木徹「国際メディア情報戦」を読んだ!