FAXによって安倍昭恵夫人の土地取引への関与が取り沙汰されているが、本日、さらに驚きの“物証”が出てきた。本日開かれた参院決算委員会で、共産党の大門実紀史議員が疑惑の“手紙”の内容に踏み込んだのだ。
この手紙というのは、籠池泰典理事長の証人喚問の際、自民党の西田昌司議員が公開した籠池理事長から昭恵夫人付きの職員である谷査恵子氏へ送ったとされる封筒の中身にあたるもの。この手紙の返答が、件のFAXだと見られていた。証人喚問で西田議員はなぜか封筒のコピーしか取り上げず、肝心の中身に触れようとしなかったのだが、この手紙のコピーを共産党が独自に入手したのだという。
そして、この手紙の中身は衝撃的なものだった。大門議員は手紙のなかで籠池理事長が谷氏へこのような依頼をしていたと明かす。
「定期借地契約が10年なのは短すぎる。50年契約にした上で、じつはいちばんの眼目は『早く買い取ることはできませんか』ということ」
件のFAXでは、籠池理事長が土地の買い受け特約が10年であるところを50年契約にできないかともちかけていたと思われ、実際に財務省の国有財産審理室長は〈これ以上の長期定借は難しい状況〉と返答していた。だが、この手紙の本題は契約期間の延長ではなく、「国有地を早く買い取りたい」ということだったのだ。
しかも、籠池理事長は手紙のなかで「賃料が高い」「賃料を半額程度にしてもらえないか」と要望。また、工事費の立て替え払いについても「平成27年度予算で返してくれると言ったのに、平成28年度に遅れるのは何事か」と記述しているという。
この手紙の内容は極めて重要だ。なぜなら、これらの籠池理事長の要望は、その後、すべて叶えられているからだ。手紙は2015年10月26日に送られたものだが、その後、2016年4月6日という平成28年度予算がはじまってたった6日というスピードで工事費の立て替え分1億3176万円が支払われ、さらには同年6月20日にごみの撤去費用8億1900万円を差し引いた1億3400万円という格安価格で国有地を売却。15年5月に近畿財務局と締結した貸付契約では月額賃料が227万5000円だったが、この16年6月の契約では、頭金が2787万円、毎年1100万円と延納利息1%という10年間分割払いという内容で、月額にすると100万円以下となる。手紙当時の月額賃料227万5000円から見事に「半額以下」となっているのだ。
つまり、自民党はFAXの財務省からの回答を「形式的なもの」「ゼロ回答だ」と主張してきたが、根本の手紙を見れば、現実は籠池理事長の願い通りに事が進んだことになる。これは「満額回答」以外の何物でもない。
しかし、この期に及んでも菅義偉官房長官は「内容からして、まさにゼロ回答だと思っている」などと強弁。安倍首相にいたっては「(手紙は)一部しか読んでいない」と逃げたのだ。
だが、こんな詭弁が通用するはずがあるまい。そもそも自民党が封筒しか取り上げなかったのは、その中身である手紙を公開すると「満額回答」であることが発覚してしまうからこそ隠してきたことは明白。にもかかわらず、安倍首相は同じ決算委員会で昭恵夫人の100万円寄付問題を言及されると、「辻元(清美)議員との間にも同じことが起きている。きょうの新聞に『3つの疑惑』と出ていましたね」「(辻元は)証明しないといけない」などとネトウヨ脳がつくり上げた辻元議員の陰謀論を振りかざす始末だった。
言わずもがな、籠池理事長が昭恵夫人に対して行った“要望”が、ものの全部叶えられているこの事実は、昭恵夫人が土地取引に深く関与していることを明確に示す証拠だ。引き続き、昭恵夫人の疑惑は徹底して追及されなければならないし、夫である安倍首相の卑劣な言い逃れを許すわけにはいかない。