06年教基法は、安倍首相が国家に忠誠を誓う人間像を求め、それを教育の名のもとに強制したいという願望を直裁的に表したものだった。さしずめ、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(国家のために勇気をもって身命を捧げ、永遠に続く天皇の勢威を支えよ)とする教育勅語の現代版である。実際、06年教基法は、第一次安倍政権の数少ない「成果」として極右陣営から絶賛された。たとえば当時の日本会議会長・三好達氏は「正論」(産経新聞社)07年11月号のインタビューで、「(教基法改正は)日本会議の十年の運動の中で最大の成果」と最大級に評価したうえで、「教基法改正は改憲の世論形成のためだ」と明言していた。