経産今井尚哉秘書と谷査恵子秘書の森友事案での役割

経産今井尚哉秘書と谷査恵子秘書の森友事案での役割ー(植草一秀氏)

森友事案には三つのフェーズがある。

第一は、森友学園の土地取得問題に安倍首相および安倍昭恵氏の関与があったのか
どうかという問題。

第二は、森友学園に対する1億3400万円での国有地払い下げが
「適正な対価による譲渡ではない」のではないかという問題。

第三は、森友学園自体の不祥事である。

このうち、問題の発火点であり、かつ、本質は第二の点にある。

そして、それに連動して、最重要の問題として浮上しているのが第一の点だ。

これと比較すれば、第三の問題はまさに「枝葉」の問題である。

さまざまな状況証拠から、1億3400万円での国有地払い下げは、

「適正な対価での譲渡」

ではない疑いが濃厚である。

これを強引に、

「法令に則った売却」

の一点張りで押し通そうとしているのが財務省である。

その主張を強引に展開しているのが理財局の佐川宣寿理財局長である。

しかし、一連のプロセスは「政省令」に則っている可能性が高いが、

法律に違反している疑いが濃厚である。

また、公文書の管理規則にも違反している疑いが濃い。

この問題を考察するに際しては、福島県知事の佐藤栄佐久氏が収賄罪を問われた事案

との比較をする必要がある。

佐藤氏が収賄罪を問われた事案では、

一審で、佐藤氏の弟が経営する会社が水谷建設に土地を売却した際、

その売却額が市価よりも1割ほど高かったこととされ、

市価との差額が「賄賂」と認定されたが、買った側の建設会社がその後に、

より高い値段で土地を売却していることが判明し、

二審では、「賄賂」額が「ゼロ」と認定された。

森友事案では、森友学園による国有地取得に不正がなかったということにして、

安倍首相や安倍昭恵氏が土地問題に関与していても、責任を問う必要がないものと

しようとしているように見えるが、このような不正を許してはならない。

この目論見を軸に、財務省が土地払い下げの正当性を主張しているのだ見られる。

したがって、この点を客観的に論破することが必要である。

当該国有地の地下埋設物の状況は、地下埋設物の全面除去を必要とする者とは

かけ離れており、財務省による激安販売は、

国に損失を与えた可能性の高いものである。

安倍政権は、検察当局が、国有地払い下げが背任に当たるとの告発に基づく操作に

よって近畿理財局を不起訴になることを誘導し、

これをもって国有地払い下げを正当化することを目論んでいると思われる。

安倍政権は検察も会計検査院も裁判所も、

人事権を通じて支配している。

日本に「法の支配」、「権力の分立」は存在していないというのが現状である。

本当に「おぞましい国」になり果てている。

そして、メディアに対して、森友学園自体の不祥事に焦点を当てる報道を命じていると

思われる。

森友学園が補助金を不正に受領していた疑いをクローズアップして、

安倍政権の不祥事

森友学園の不祥事

にすり替える作戦が展開されている。

こうした情報誘導に惑わされてはならない。

現時点での最大の核心は、

安倍首相が2月17日の衆議院予算委員会での質疑において、

「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、

そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと

申し上げておきたい」

と発言したことにある。

そして、財務省による森友学園への国有地払い下げは、明白な不正廉売であり、

国民に巨大な損害を与えるものであるということが、問題の核心である。

単に安倍首相が「関与していたら総理を辞める」と発言したことを

針小棒大に捉えているのではない。

安倍首相および安倍昭恵氏が関与したと考えられる問題が、

まさに政治の構造腐敗

政治と行政の癒着

政治の堕落

を示す典型的な事例であるからだ。

この事案について、安倍首相が

「関与していたら首相も議員も辞める」

と明言したことは、天祐と言うほかない。

この「千載一遇のチャンス」を「生かす」ことが重要なのである。

そのチャンスを生かすために必要なことは、

野党の意志と行動力である。

とりわけ、民進党の意志と行動力が問われている。

この問題をうやむやに終わらせるなら、

それは、民進党の死を意味することになるだろう。

新設小学校の建設を請け負った藤原工業が森友学園を提訴した。

工事代金の支払いが滞っていることが理由である。

この企業は維新の会とのつながりが強いと伝えられている。

橋下徹氏、松井一郎氏の小学校設置認可にかかる責任は重大である。

維新の下地幹郎議員は国会質疑で、

「森友学園にはしごをかけたのは維新だ」

と明言した。

この問題も精査される必要がある。

工事代金が支払われなければ建設会社は立ち行かなくなるだろう。

そもそも、支払う代金の目途がないのに建設が行われていることが不自然である。

工事代金の支払いに補助金が充てられるとの説明があったとの証言があるが、

仮に、寄付金や各種補助金の充当が想定されていたとしても、

工事が完了した段階で資金がすべて整う保証はない。

つまり、森友学園は工事代金の支払いに充当するための銀行融資を計画していたと

考えられるのだ。

ところが、この銀行融資の話が、これまで一切表に出ていない。

2015年9月4日に、安倍首相が大阪に出向いた際、夕食の会食場になったのは、

公明党の元国交省冬柴鉄三氏の次男である冬柴大氏が経営する「かき鐵」であった。

拙ブログ2017年2月26日付記事

「徹底検証不可欠アベ友事案2015年9月3-5日動静」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/201593-5-f5a8.html

この9月4日、

国土交通省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の

採択プロジェクトの決定について」で、

森友学園の瑞穂の國記念小學院(=安倍晋三記念小学校)」の校舎及び体育館が

選出され、6200万円の補助金交付が決定された。

因みに冬柴大氏はりそな銀行高槻支店次長を務めたのち、

冬柴パートナーズ株式会社を設立している。

冬柴パートナーズ株式会社は業務内容にコンサルティング、

助成金申請援助を含んでいる。

http://www.fuyushiba.com/naiyou.htm

また、森友学園はりそな銀行と業務提携を行っている。

https://goo.gl/QFgZRP

安倍首相の大阪出張には首相秘書官の今井尚哉氏が同行しており、

会食も共にしている。

今井尚哉氏は経産省出身であり、安倍昭恵氏付の秘書官である谷査恵子氏が

安倍昭恵氏案件を相談する場合には、今井尚哉氏が関与する可能性が高い。

9月5日に安倍昭恵氏は森友学園で講演し、新設小学校の名誉校長に就任している。

今井尚哉氏が訪阪の際に、翌9月5日の安倍昭恵氏講演の件で、

何らかの事務連絡をした可能性も否定できない。

森友学園はりそな銀行と何らかの取引関係があったとも考えられる。

したがって、小学校建設資金について、

森友学園が銀行融資を検討した事実がなかったのかどうか。

その際に、りそな銀行が関与していなかったのかどうか。

事実を明らかにする必要があるだろう。

客観的事実から見て、国有地が不正に低い金額で払い下げられた疑いは濃厚である。

これは、

検察がどう判断しようが、

会計検査院がどう判断しようが、

こうした権力の判断とは別に、

客観事実を基に判断しなければならない事案である。

検察審査会を通じる「強制起訴」の先に事実が認定されることも視野に入れて、

腰を据えた対応が必要になる。

このことを踏まえたときに、

安倍首相および安倍昭恵氏の関与の有無

は決定的に重要である。

安倍政権はメディアを動員して、

「森友問題よりも重要事案がある」

の世論を人為的に創作しようとしているように見えるが、

そのような情報操作に惑わされてはならない。

日本政治刷新の

千載一遇のチャンス

が到来している。

このチャンスで、手順を間違えなければ、

ほぼ確実に、政権の刷新が可能になると見られる。

実は、財務省は2019年10月の消費税率10%を

安倍首相が再々々延期することを警戒していると見られる。

このことを念頭に置いて、安倍首相と取引をする構えも垣間見られる。

安倍首相が取引に応じなければ、財務省がやや自爆気味に、

安倍おろしに加担する可能性すらある。

まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界であるが、

主権者国民は、政治権力者および背徳野党の悪徳行動を許容せずに、

必ず真相解明、責任追及の実を上げなければならない。