NYタイムズ コラムニストの眼 デイビッド・ブルックス
過去一世代の間に、大卒以上の学歴を持つ層は、驚くほどうまく、その恵まれた地位を我が子に引き継いできた。さらに、その他の階層の子どもが自分たちの仲間入りをする機会を狭めることにも、恐ろしいほどたけてきている。
彼らがいかに巧みに第一のタスク――我が子の後押し――をこなしているかは明白だ。重要なのは、子にひたすら尽くす「ペディアクラシー」だ。この数十年間、米国の上位中間層は、出来のいい子どもを育てることを人生の中心に置いてきた。
上位中間層の母親には様々な手段も育児休暇もあるから、高卒の母親よりも母乳育児をする割合がずっと高く、その期間もはるかに長い。
上位中間層の親は、それより下の所得階層の親に比べて、2倍から3倍の時間を就学前の子どもと過ごすことができる。1996年以来、裕福な層の教育費は300%近く増加したが、その他の層ではほぼ横ばいだ。
中間層の暮らしが厳しくなるにつれ、上位中間層の親は我が子が決して階層を滑り落ちないよう、ますます必死になっている。もちろん、自分の子孫に尽くすことは何も悪くない。
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倫理的に問題となるのは、第二のタスク――違う階層の子どもを同じ機会から排除すること――だ。米ブルッキングス研究所のリチャード・リーブスは、近著で、高学歴層が社会制度を操作する構造的な方法について詳述している。